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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁

青空文庫

それを下手人であると思うのは、小峰助右衛門の場合では平次の理性が許さず、後の優曇法印の場合では、平次の微妙な直感が許さなかったのでした。

家へ帰ったのはもう暗くなってから。

ガラッ八は、少し萎れ気味で平次の帰りを待っておりました。

「どうだ、八」

「今度は滅茶滅茶縮尻ですよ」

「そうか」

平次は自分の縮尻の肩が、いくらか緩やかになったような心持です。

「意地の悪いことに、三人とも昨夜は家に居ましたよ」

「はてな?」

「御家人崩れの遠藤左馬太は、糊売り婆アの家の二階にゴロゴロしていますが、一文無しで寄席へも行けなかったそうで」

「誰から聴いた」

「糊売り婆アは、轡虫みたいにお饒舌ですよ」

「それから」

「佐原屋の息子の茂吉は、宵のうちは帳場に居て、亥刻(十時)頃から奥の部屋へ引取ったということで――これは番頭も小僧も牡丹餅ほどの判を捺すそうで――」

「三次は?」

「これは一番確かで――、宵から佐原屋へ遊びに行って、息子の茂吉と夜中まで将棋を差していたそうですよ」

「それから――」

「佐原屋へ泊って今朝帰ったそうで、一方は堅気の町人の息子、一方はやくざ者ですが、餓鬼のうちからの友達で、妙に馬が合う様子です」