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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁
――倅も悪かったには相違ないが過ちでしたことのために、命まで取られちゃかなわない」
喜兵衛はもう下手人を松五郎と決めてかかるのでした。
「よしッ」
重吉は飛んで行きました。植木屋の戸口を叩くと、戸は中から開いて、バアと出たのは主人の松五郎です。
「おや、親分さん、お早う」
と松五郎。
「お早うじゃねえ、太え野郎だ。手前昨夜何をやった」
「ヘエッ、あの一件ですか、相模屋の禿頭へ小判を叩き付けた」
「違う――そんなつまらねえ話じゃねえ、証拠はみんな挙がってるんだ。素直にお縄を頂戴しろ」
「何の証拠で、親分」
松五郎の顔には何の蟠りもありません。
「昨夜お通夜に来た新助を木戸のところで殺したろう」
「えッ」
「白ばっくれるな松五郎。娘の敵と言うならお上にもお慈悲がある、神妙にお縄を頂戴せい」
「あの、新助が、木戸のところで?」
「知らないと言う積りか」
重吉の左手は、松五郎の手首に掛っておりました。右手に懐を捜ると取出したのは一条の捕縄。
「そいつは大笑いだ、――いかにもこの松五郎が殺したよ、娘の敵倶に天を戴かず」
「そいつは親の敵だ」
重吉の縄は、そう言ううちにも、キリキリと松五郎を縛り上げます。