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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁

青空文庫

「隣町の稽古所入りだよ。間抜けな声なんぞ出しやがって、それだからこの節の新造ッ子は洟も引っ掛けねえ」

「ところで、仲吉の持物を見せて貰えるだろうね。何とかして明かりを立ててやるから」

「勝手にしやがれ」

半信半疑の様子で、市五郎はそっぽを向きました。

平次は下職に仲吉の手文庫を持って来させ、無理に市五郎を立会わせて見ると、中はがらくたばかり、予期したお町の手紙などは一つもありません。

家の中を一とわたり見ると、稼業で使う油や綿がどこにでも置いてある始末、お勝手から物置を見ると、焚きつけの脂松が、これも束にして積んであります。

平次は市五郎を宥め宥め、好い加減にして引揚げました。仲吉とお町とが、深い仲だったという証拠は一つもなく、従って火を放けないという積極的な申開きは立たないわけです。

もっとも、主人の市五郎は、その晩も酔って寝てしまって、便所へも起きなかったということを、住込みの下職に証明さしたのは、容疑者の範囲を狭くする、せめてもの収穫でした。

家へ帰って来ると、

「親分、お町さんが来てますよ。傍で見ると、思ったより綺麗で――」

ガラッ八が入口に迎えて鼻をヒョコつかせます。