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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(三)酒屋火事(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,725 字 · 298 頁

青空文庫

徳力屋の吉五郎を追い出して、丸屋からはお新を取り戻す』って言ってるが、どうだ」

平次は何を考えたか、とんでもない突っ込んだ事を言います。

「ジョ、冗談でしょう。向うは許嫁だけで、祝言したわけでも何でもねえが、私はもう女房にしているんですぜ。取り戻される道理もなく、渡してやる筋合でもありません。馬、馬鹿馬鹿しい」

長次郎はとんでもない見幕でした。唇を噛んで拳を握ると、顔へはサッと忿怒の血が上ります。

「だが、千之助が、どうしても取り戻すと言ったら?」

「渡しゃしませんよ。とんでもない」

「千之助が死んで、とんだ有卦に入ったのは、吉五郎とお前さんだ」

「それはその通りでしょう。――でも、死んだ当座は本当に気の毒だと思いましたよ」

「生きて還ったと聞いたら、憎くなったろう」

「ヘエ――」

「その千之助は、江の島の崖から落ちたのは怪我や過ちじゃなくて、闇の中で人に突き落されたんだって言ってるが、どうだ」

「そんな事を私は知りゃしません」

「だから、死んだ後でうまい事をした奴が、私を突き落したに違いない――と千之助は言うんだが」

「…………」

「その上、自分を突き落した奴を、薄々知っている。