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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁

青空文庫

「雨戸は?」

「一枚外れておりました」

「化物もさすがに節穴からは通れなかったでしょう」

と平次。

「馬鹿馬鹿しいと思いながらも、これじゃやり切れません。女房の臆病に付き合うようですが、親分の智恵でも拝借したらと思いましてね」

由兵衛は仕様ことなしに笑っております。

「私が行って見るのはワケもありませんが、岡っ引の姿を見ると、鳥が逃げてしまいます。明神様には済まないが、朝詣りということにして、ここへそっと寄って下すったのは、いいことでした。――ところで、お店の奉公人は、幾人ぐらいありましょう」

「金蔵を始め、番頭手代小僧まで、十七人、それに下女が三人、飯炊きが一人」

「多勢ですね。その中で、三月か四月前に来たのはありませんか、化物の悪戯の始まる頃――」

「私もその辺に気がつきましたが、生憎丸一年勤めているのが、一番の新米で、金蔵などは四十七年もいるそうです。――もっとも、この三月の出代りに暇を取るのや出すのは三人ほどありますが」

昔の奉公人は三月が出代り、それまであと十日とありません。

「それじゃ、今晩は奉公人のうちで一番気の強いのを、一人だけ離室へ寝かしてみて下さい。