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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁
「許し難いところだが、その方の手柄に免じてもよいのう」
「それでは申上げます」
平次は少し居座を直しました。
縁側に坐って、存分に春の陽を浴びておりますが、キリリとして好い男振りが、場所柄も、主人の傲慢さにも圧服される気色がありません。
平次の後ろには、お町が菊内に護られて、慎ましく坐りました。
その後ろにはガラッ八の八五郎、これは少し場うてがしておりますが、それでも親分の号令が掛れば、すぐにも飛出しそうです。
「お町はいつぞや申上げた通り、あの時、私と八五郎の側を離れません。浅五郎はお町に逢ったのは真当でございますが、それからズーッと、寺島新田の叔母の家に居りました。長命寺境内と申したのは遠方へ行くのはお許しがむずかしいと思ったからでございましょう。これは間違いございません。それから、もう一つお町が矢を隠したのは、浅五郎に疑いのかかるのを心配した取越し苦労からでございます」
「フム」
平次の話は依然として少しの疑いを挟む余地もなかったのです。
「あの騒ぎの時、所在の判然しないのは、この御邸の方でたった二人ございます」
「曲者は邸内の者とどうして相判った」