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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁

青空文庫

「ヘエ――」

八五郎が引返して来るまで、平次の側には、お糸が心配そうに立っておりました。

「銭形の親分さん、見苦しいところですが、一服召上がっていらっしゃいまし」

「有難う、ちょっと休まして貰おうか。ところで、私を平次とは、どうして気が付きなすった」

「お隣で、子分衆が大きな声でおっしゃったじゃありませんか」

「なるほど、そいつは大笑いだ。種を聞けば、天眼通でも何でもなかった」

平次もツイ蟠りもなく笑ってしまいます。

「親分さん、この路地へ何が逃げ込んだのでしょう」

お糸は無気味そうにお喜代を顧みました。

「お前さんも噂を聞いているだろう、『千里の虎』を追い込んだのさ」

「えッ」

「だが、心配することはないよ、『千里の虎』は非道な金持か、評判の悪い武家屋敷でなきゃア荒さないから」

「でも、女二人で、万一の事があったらどうしましょう」

お喜代はさすがに怯え切っております。

「大丈夫だよ、――それだけの恰幅なら『千里の虎』ぐらいは組伏せられるよ、――お前さんは幾つだえ、何? 十八? 孤児になって、御新造の厄介になっている? そうかい」

下女のお喜代の逞しい身体を、平次はつくづく眺めております。