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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(二)八人芸の女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 頁

青空文庫

三番町の梅木先生に行って聴くと、内障眼で盲目になった人の瞳は、物の見定めというものがないから、灯にも物の象にもかまわずに、フラリフラリと動くものだそうです」

「フーム」

「それから、先刻、御用ッと言っただけで、私を平次と知ったのも変じゃございませんか」

平次は動きの取れない証拠を上へ上へと積んで行きます。

「嘘だ嘘だ。――盲目はいかにも偽だが、これは世過ぎのためだ。目明きの按摩じゃ流行らねえから、少し眼の疎いのを思い付きに、盲目の真似をしたまでの事だ。人の物なんか盗るような大それた人間じゃねえ、『千里の虎』なんてとんでもねえ話だ」

「黙れ」

「いや、黙らねえ。銭形の親分ともあろうものが、そんな目違いをして済むと思うか」

竹の市は気違いじみた声を出して猛り立ちます。

「それじゃ、忍び返しの向う側、寺の境内へ手拭を投げ込んだのは誰だ」

「知らねえ、知るもんか」

「あれは曲者が逃げたと見せるために、お前が投げ込んだ手拭だ」

「知らねえ知らねえ」

「あの手拭は酒屋の配り物で町内に百本もあるが、あれにだけは目印があったんだ」

「…………」

「糊売婆さんが、自分の家へ持って来て洗濯する時、同じ模様の手拭と間違えないように、お前の分へ墨で印を付けたんだ」