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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Read 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 335,908 characters · 669 screens
一道の白光闇を貫く
それじゃ今日からお前さんは、我らの頭目という訳だね?」
「頭に不足がもしあるなら……」
「なんの不足がございましょう。立派な立派なお頭様じゃ」
「そう決ったらそれでいい。さて今度は右門殿じゃ、いざその大岩を持ち上げられい!」
一道の白光闇を貫く
邪法を用いて巨大な柱を引き抜いたとは夢にも知らず、右門は五右衛門の強力を心窃かに嘆じながら、今は遁がれぬ必死の場合、両手を岩に打ち掛けて、金剛力は出しても、地の中深く喰い込んだ苔蓬々たる孕石は、身弛ぎ一つすればこそ。
八百万の神々を念じながら、流るる汗を押し拭い、二度三度押せど引けど、動かぬ岩は動かばこそ、精さえ根さえ尽き果てた。
「いかがでござるな右門殿、岩は微動さえ致さぬ様子、力は五右衛門の勝ちでござる。もうお止めなされ、お止めなされ!」
五右衛門は云いながら嘲笑う。右門は再び立ち上がり、動かぬものとは知りながら、大岩にひしと抱き付き、「この岩もしも上らぬものなら、五体を岩に打ちつけて、微塵になさん」覚悟を極わめ、焔の呼吸を吐きながら持ち上げ持ち上げするほどに、神の祐けか変化の業か、さしも動かぬ大岩が、地下より何者か押し上ぐるように、次第次第にセリ上がる。