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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Read 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 335,908 characters · 669 screens

Aozora Bunko

傾城のお銀

云わずと知れた駈落ち者、お銀、粂太郎の二人である。

「お銀」

「粂さん」

も小さい声、手を取り合って街道を、小千谷の方へ小走って行く。

ものの一、二里も来た頃である。

「やい待て!」

と行手から現われたのは、雲突くばかりの大男、しかも五人大手を拡げ、道の真ん中へ突っ立った。

「あれエ!」

とお銀は悲鳴を上げ、粂太郎の胸へ取り縋る、それを背後へ囲いながら、

「何かご用でございますか、少し道を急ぐ者、お通しなされてくださりませ」

顫えながら粂太郎は云った。

傾城のお銀

「用があるから止めたのよ。汝らアたしかに駈落ち者、うめえ事をした罰に、これから辛え目を見せてやる! やい俺らを何んだと思う! 様子でも知れよう泥棒様だ! 地丸左陣の手下だわえ!」

「ええ、それじゃ黒姫山の?」

「うんそうだ、黒姫山に、山寨を築いて住んでいる地丸左陣の乾児の中で、名を知られた双六の六太だ」

「同じく骨牌の花九郎だ」

「猩々の酒兵衛」

「鎌髭の権」

「太鼓の胴左たア俺の事だ」

「見込んだが最後許しゃしねえ」

「野郎は身包み剥いだ上」

「谷へ蹴落とし狼の餌食だ」

「阿魔は夜目にも美しいから」

「佐渡の人買いへ売り渡す」