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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Read 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 335,908 characters · 669 screens
会議室
姫と来ては娘ながら、俺の手には合わないのだからな。それに麗人国全体の、人望を負っているのだからな。その姫の手で隠匿うからには、いよいよ俺の持ち物にはならぬ。……だから方針を変えるのよ。囮として使うのよ。……さて会議だ、どうなったかしらん。……」
彼は威張って傲然と、会議室の方へ歩いて行った。
大物主が中座した後も、会議はドンドン進んでいた。
議論は二派に別れていた。
背に腹は換えられぬ。黄泉の岩根の獣人酋長、荒玉梟帥の乞いにまかせ、おいたわしいが美麻奈姫を、妻わせようという平和説と、それに反対する説とであった。
巨大な楕円の卓を囲み、諸将は亢奮して論じあった。
「それはならぬ! 断じてならぬ! 姫は我々の美の神だ。姫を失うことは、麗人族の大恥辱だ。たとえどのような理由があっても、それだけは断じて許すことは出来ぬ。美は我々の生命だ。その持ち主が美麻奈姫だ。姫がこの国を立ち去ると同時に、麗人国は意義を失う。意義の滅亡は国の滅亡だ。断じて断じてそれはならぬ!」
こう叫んだのは槌主であった。彼は南門の守備長で、いつも鉄槌をひっさげていた。
と、朱主が立ち上がった。