Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Read 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 335,908 characters · 669 screens
入れるやパッと両眼を見開いた。
「黙れ武者所鬼王丸! 小細工などとは何事じゃ! この不思議こそ神の怒り! すなわち邪淫のこの儀式を喜び給わぬ何よりの証拠じゃ! 邪心改めればよし、悪行尚も続くる時には神の怒りは水火となって汝を初め眷族の上に今より直ちに降りかかるぞよ!」
英雄僧の面目を現わし大音声に呼ばわった。すかさず数馬が飛び上がる。颯と走ったのは芳江姫の側。姫を背後に隠うと見るやキラリと太刀を引き抜いた。
老師と数馬の必死の気合に、さすがの鬼王丸も打たれたものか、後へヘタと退いたが、そこは奸悪の猛夫である。そのままへたばりもしなかった。
「朱雀、玄武よ! 白虎よ! 構わぬ三人とも切ってしまえ!」――鬼王丸は呼ばわった。声に応じて四天王、パッと正面へ躍り出るや、朱雀四郎は長巻を構え、玄武三郎は鎗をしごき、白虎太郎は弓を握り鏑矢をつがえて引き絞った。
場に集まった数百人、各自罵り叫びながら得物得物を打ち振ってひしひしと三人を取り囲んだ。
めでたい婚礼の儀式の場所は修羅の巷と変ったのである。
オースチン師は何んと思ったか咄嗟の間に数馬を見返り、
「数馬殿、手練の投げ剣の手で、篝を消してはくださらぬか」