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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Read 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 335,908 characters · 669 screens
衣裳を捧げた美童二人擦り足をして進み出る。
心静かに着替えをし烏帽子を戴いた御嶽冠者は、
「五右衛門はいかが致しおるか」
「とくより広庭に出でまして、兵ども指揮致しおられます」筑紫権六はすぐ答える。
「む、そうして裸体武兵衛は?」
「熟眠致しておりまする」
「アッハッハッ、それもよかろう」
冠者はちょっと考えたが、
「権六弓を持て参れ」
つと廻廊へ踏み出した。
「お供!」
と権六が声を掛ける。
宿直の室からバラバラと十人余り走り出たが、静かに冠者の後方から粛々として進んで行く。いずれも屈強の若武士である。
権六は長押に掛けられてある重籘の弓を取り下ろすと、鏑矢雑えて矢三筋弓に添えて小脇に抱え、つと駈け抜けて先頭に立った。
「御嶽冠者殿おいでなされたとな。やれやれちょうど都合の悪い。取り乱したところをお眼にかけねばならぬ。……市之丞殿は姫を介抱して、隣室にちょっとお隠れなされ。愚僧と数馬殿とでお眼にかかるとしよう」
オースチン老師はせかせかと一人で喋舌って室を片付けたが、おりから廻廊に足音がして間もなく冠者が現われた。
「ご老師はいってもよろしゅうござるか?」
入口に立って声を掛けた。