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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Read 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 335,908 characters · 669 screens
砕けた中にも礼儀を忘れぬ床しい武士の作法である。
「さあさあずっとおはいりくだされ。岩石ヶ城はご貴殿の物。我々はいわば捕。何んの遠慮がいりましょうぞ」
「捕などとはとんでもないこと。いずれも某の賓客衆でござるに」
云い云い冠者は着座したが、権六はじめ供の者どもは廊下にズラリと居流れた。
「諸般のご挨拶は抜きと致し、さて直ちにおうかがい致したきは、鬼王丸めの悪亡魂、昨夜姫と御僧とに現われお心を驚かせたと申すこと、こは誠でござりましょうや?」
「さよう」
と老師は渋面を作り、
「たしかに亡霊現われましてござる」
「お驚き遊ばされたでござりましょうな?」
「いかにも仰天致してござる」
老師は少しも隠すことなく正直のところを云うのであった。
「これに対する今後のご処置は?」
「今後やはり出ましょうかな?」老師は困ったというように冠者の顔を眺めるのであった。
「今後も出るでござりましょう」
冠者は平然と云ってのける。
西南指して天翔ける
「それはそれは困ったことで」老師は一層顔を顰めたが、「愚老はともかく芳江姫が酷く恐れておりますのでのう」
「また打ち棄てて置きましたなら不測の災い起ころうも知れず。