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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Read 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 335,908 characters · 669 screens
「四擒四縦の謀りごとをもって、山寨脱出の人足どもを、一人残らず捕らえるよう、手筈が出来ているからでござる」
「いえいえ飛鳥井右京次郎様も、立派な兵法家でございます。何んのオメオメ捕らえられましょう」
「そう思っておいでなさるか?」
「ハイ、堅く信じております」
「その信仰は破れましょうぞ」
「何んのそんな事がございますものか」
「可哀そうな盲信じゃ」
「冷静な批評でございます」
「姫の言葉が実となるか、拙者の思惑が適中するか、明日の朝まで待たねばならぬ」
「ハイ、待たねばなりませぬ」
左陣はジリッと進んだが、
「しかし私のこの恋は明日まで待つことは出来ませぬ」
「たとえ明日までお待ちなされても叶うことではございません」
「いやいやきっととげて見せる」
「どうしておとげなさります」
「たとえば暴力に訴えても」
「それは卑怯でございます」
「恋には卑怯も正義もない!」
「それは不義でございます」
「ではその不義をとげるまでじゃ」
「それは恋ではございません」
「恋でござる! 恋でござる!」
「あなたは人間ではございません」
「おお私は獣でござる」
「醜い獣! お恥じなさるがよい!」
「獣の心に恥はない」