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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Read 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 335,908 characters · 669 screens
悪獣に襲われて殺されたら、それも運命仕方がない。夜盗や強盗がもし出たらニッコリ笑ってやればいい」
でズンズン歩いて行った。
と、忽然行手にあたり、剣戟の音が聞こえて来た。チャリン、チャリンという凄じい音で、続いて「ヤッ」という気合の声! それに答える「エイッ」という声! 森々と更け渡った深夜ではあり、巨木矮林茂り重なった、木曽の山路であるだけに、恐ろしさも一層であった。
「おや、誰か斬り合っているよ」
ちょっと鳰鳥は驚いたが、そこは気丈な女のこと、逃げようともせずに近寄って行った。
一所わずか林が途切れ、秋草茫々たる空地へ出たが、そこに四人の侍が、一人の老武士を中に取り込め、白刃を閃めかして逼っていた。
しかも老武士は数ヵ所の痛手に気息奄々たるものであった。
「一人へ四人で掛かるなんて、何んという卑怯な奴らだろう。しかもあんな老人へ! おおどうかして助けてやりたい! だが妾は女の身、武器と云っては何んにもない! では飛礫でも投げてやろう! 大声を上げて喚いてやろうか!」
妙案が咄嗟に浮かばないので、鳰鳥は木蔭で身悶えした。
その時、老武士が動き出した。