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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 142,597 characters · 289 screens

Aozora Bunko

そのうちに、二日三日と経ちました。

「親分、あの普賢菩薩は又六の作じゃないって話がありますよ」

ガラッ八は妙な事を聞込んで来ました。

「俺もそう思うよ」

「ヘエ、親分はそれを知ってなさるんですかい」

「知ってるわけじゃないが、地獄極楽の活人形とは、あんまり手際が違いすぎる。それに、あの仏体の台座を見ると、銘を削って書き変えた跡があるんだ」

「ヘエ、――驚いたなア、どうも」

「雲龍斎又六は、高慢に構えているが、あれは下手っ糞だよ」

「すると、あの仏体は誰の作でしょう」

「それが解らぬ」

「この間殺された勘兵衛じゃありませんか。二代目一刀斎勘兵衛は、親の初代一刀斎に優る名人と言われていますが」

「いや、――俺には腑に落ちないことばかりだ」

「親分」

「手前は死んだ勘兵衛の身許を洗ってくれ。親の初代一刀斎勘兵衛は、五年前に禁制の切支丹の像に紛らわしい物を彫って、遠島になったはずだ」

「ヘエ――」

「俺はお倉を縛って泥を吐かせてみる、どうもやはりあの女が臭い」

「三輪の万七親分が一度縛って許したばっかりじゃありませんか」

「その通りだよ」

「勘兵衛の足袋の底はどうなんです。わざわざ自分の赤い扱帯で殺して、死骸の雪駄を片っ方だけ自分の家へ持って来たんですかい」