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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 142,597 characters · 289 screens
七
平次はもう一度広間に取って返すと、妓どもを一人一人調べ上げてみました。が、何にも解りません。解ったことは、真っ暗な部屋の中で、鬼がどこにいると見当もつかないのに、十幾人ただ滅茶滅茶にキャッキャッと言っていたというだけです。
「お駒は?」
「師匠の世話をしていますよ」
まだ一本になったばかりのお駒が、赤の他人の、初老近い幇間の世話を焼くのは、余程どうかした心掛けでなければなりません。
「あの妓は、根が優しいから、それくらいのことはするでしょうよ」
主人の喜兵衛はそんな事を言っております。
真夜中過ぎまで何の変化もなく、検屍も翌る朝になったので、一応妓どもを帰そうか――とも思いましたが、もしその中に下手人が交っていると、容易ならぬ手落ちになります。
平次は日頃の遣り口にはない事ですが、素知らぬ顔をして、広間の中に不安におののく一団の美しい群を見ておりました。
七
「親分、解った」
「何だ、八」
「夜っぴて飛んで歩くつもりだったが、いい塩梅に、子刻(十二時)前にみんな解ったぜ」
八五郎の顔、――獲物を咥えた猟犬のような顔を見ると、平次はそっと物蔭に呼びました。
「順序を立てて言え、まず、何が解った」