Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 142,597 characters · 289 screens
ガラッ八はこう言うのが精いっぱいです。
「どうしたんだ、――大急ぎで話してくれ、この穴はどこへ行くんだ」
「長崎屋の金蔵だよ、親分」
「謀叛人じゃなかったのか」
「皆川半之丞兄妹は、あんな優しい顔をしているくせに、大泥棒だ」
「そいつは知らなかった、大泥棒なら話は早い」
平次はガラッ八を助け起して、狭い穴の中ながら、どうやらこうやら引っ担ぎました。
「無礼者ッ」
不意に、穴一パイの霹靂が響きます。
「…………」
ハッとして提灯を差向けると、出口を塞いだのは、主人の皆川半之丞。いつの間に帰ったか、一刀の鯉口を切って、近寄らば目に物見せん構えです。
蒼白い顔は激怒に顫えて、爛とした眼は、中腰になった平次と、その背に負われたガラッ八を睨み据えます。
「泥棒とは何事だ、――皆川半之丞、人の物をかすめた覚えはないぞ」
「…………」
「偽手紙でおびき出して、他人の家に忍び込む、その方こそ盗賊だろう。銭形平次とは言わさんぞ」
「待って下さい、皆川さん、――こうでもしなきゃ、八五郎を助ける工夫がなかったんだ、――差当り泥棒でないという言い訳、そいつを伺おうじゃありませんか」
平次も屈服してはおりません。