Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 142,597 characters · 289 screens
「チェッ、憚りながら娘っ子除けの禁呪に小唄をやっているんだ。心配して貰いたくねえ」
ガラッ八はそう言いながらも、耳の後ろをポリポリ掻いております。
「そうだろうとも、だから俺は言ってやってよ。――伯母さんの若い時と違って、この節はあんなのが流行るんだ――てね、小唄一つ歌うんだって、鼻っ先や喉で転がすんじゃねえ。八の野郎は胆っ玉で歌うに違えねえ。――」
銭形平次に悪気があるわけでなかったのですが、伯母の口吻から察して、ガラッ八の八五郎が小唄の師匠に気がありそうにも取れたので、それとはなしに脈を引いて、意見をするものなら、今のうちに意見をしようと思ったのです。
「親分、本当のことを言うと、こいつにはワケがありますよ」
「そうだろうとも。二日も行かなきゃ、師匠の小唄お政が、迎えをよこすほどだって言うから、ワケだって大ありだろうよ」
「嫌だね。伯母さんが、そんな事までブチまけたんですかい」
「人に意見などをする歳じゃねえが、小唄お政じゃお職すぎる。止す方が無事だぜ、八」
銭形平次は漸く真顔を取戻しました。からかったり、ふざけたり、叱ったりするうちにも、子分の八五郎を思う真情が、行き渡らぬ隈なき心持だったのです。