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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Read 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 335,908 characters · 669 screens
「名前は何んと云われるな?」
「東条数馬と宣り申す」
「武芸の心得はござるかな?」
「さよう、いささか心得てござる」
「武芸の師匠は何人でござる?」
「上州の上泉伊勢守こそ某が最初の師でござる」
「ホホウ、上泉伊勢守殿とか。それはよい師を持たれたの。その他何人に従かれたかな?」
「花隈の城主戸沢山城守殿」
「それでは何か天狗飛切りの術を会得されたと申されるか?」
「いかにもいささか会得してござる……俗称は天狗飛切りの術、武道における名称は、小太刀潜入飛燕術! これこそ某の奥の手でござる」
修験者の態度はこれを聞くと以前より少しく慇懃になった。
「ホホウ、さようでござり申すか。どうりで未だご若年に似合わず胆気すぐれたご仁と存じてお懐かしく思うており申したが、そう伺って見れば胆気のあるは、当然の事と思われ申す。してまた何んのご用あってこの深山を彷徨われたかな?」
数馬は急に黙ったが、隠しても詮ないと思ったので、問われるままに答えたのである。
「中津川殿のお身内に、一人尋ねる人あって、それを追っ駈けて参ってござる」
「してその仁の姓名は?」
「玄斎坊主之助と申しまする」
「何んのためにお尋ねなさるるかな?」