Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Read 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 335,908 characters · 669 screens
「妾の色香で引っ張り寄せ、バッサリ蜘蛛の巣へ掛けたからにゃ……」
「焼いて食おうと煮て食おうと……」
「それこそこっちの勝手さ」
「ここに憐れを止どめたは、その有様を指を咬わえて、側で見ているご亭主が姿か」
「またお云いだね、これで三度だ」
「ままよ三度笠横っちょに提げてか……」
「破れかぶれの頬冠りってね……どれ妾はあっちの部屋で……」
「御寝遊ばし成されましょうと行け」
「それでは落合内記殿」
「しからば松風のお局様」
「明日改めてご対面」
「まずそれまでは」
「何事も秘密」
「ご上使様のお立ち――ってね」
「ホホホホ」と笑いを残し、お銀は部屋を出て行った。
水晶山の脱走
やがて長い秋の夜が白々水色に明け初めた。
その時、ボーッと法螺の音が谷の方から聞こえて来た。
山寨がただならず騒がしい。
床から起き出た地丸左陣は、その法螺の音に耳傾け、知らせの来るのを待っていた。
そこへ周章ただしくやって来たのは例の小頭鳥市である。
「お頭人足が逃げやした」
「人足が逃げた? 水晶山のか」
「へえ、さようでごぜえます」
「そしてそいつら逃げ切ったか」
「谷の底で捉えやした」
「で、大勢逃げたのか?」