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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Read 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 335,908 characters · 669 screens
年は二人ながら十八、九でもあろうか、一人前の女だのに、無邪気に声を上げて泣いているのが、第一ひどく可愛らしかった。
「はい、あの勾玉と管玉をね」もう一人の乙女がこう云った。
「そうして誰が盗んだの?」
「岩山の人達でございますの」最初の乙女がすぐ答えたが、小さい拳を振り上げると、岩山に向かって打ち振った。それがまたひどく可愛らしかった。
「岩山の人達ってどんな人?」鳰鳥は次第に興味を感じ、くどく訊かざるを得なかった。
「いやらしい片輪者でございますの。そうして泥棒なのでございますの。何んでも欲しがるのでございますの。……百人も住んでおりますのよ」
「岩山のどこに住んでるの?」鳰鳥はさらに訊いてみた。
「ハイ、岩山の洞の国に」
と云われて、鳰鳥は改めて眼を上げて、その岩山を眺めて見た。
腐木の谷
岩山は非常に大きかった。そうして雑木に蔽われていた。しかし洞の口は見えなかった。薄雪が一面にかかっているので、ただ一様に灰色をなし、見る人の心を滅入らせはしたが、人間の姿などは見えなかった。
しかし、間もなく乙女達の言葉が、嘘でないことが証明された。
忽ち岩山の方角から、重い軋るような音がした。