Japanese reading practice

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 125,671 characters · 252 screens

Aozora Bunko

四

「飛んでもない」

「二階の様子は、階下に居てはわかったことだろうな」

「へェ、お峰さんは腹を立てて、プリプリしながら自分の部屋へ入ると、蒲団を冠って寝てしまった様子ですし、二階からは、旦那様の突き詰めた声と、お滝さんの泣き声が漏れて居りました、――階下に居ても大方の見当はつきました。」

才六の説明は行届きます。

「新吉から眼を放さなかったと言ったな」

「時々二階へ駆け登ろうとしますので、それを引留めるのが精一杯でした。一度などは梯子を半分程も登った位で」

「その新吉は何処に居るんだ」

「お勝手で、お角と話をして居るようで」

「お角は幾つになるんだ」

「一度縁付いたことがあるそうで、丁度四十だと聞きました。――出雲屋には先代からの奉公で、――最初新吉さんの乳母に上ったまま家も身寄もないので、一生奉公の積りで踏み留ったと、本人が申して居ります」

「よしよし、それで何も彼もわかったよ」

平次はようやく会心の吐息を漏しました。が、その顔には、ひどく苦渋の色があって、日頃事件の謎を解いた時の平次とは、まるっ切り違ったものがあるのです。

四

「親分、下手人は誰です」

平次の顔色から、事件の解決を読んだ八五郎は、袂の中の捕縄などを爪捜って居ります。