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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 125,671 characters · 252 screens

Aozora Bunko

五

町内の人足二、三人と、番太の親爺を呼んで来ると、巴屋の窓の下を中心に、早速ドブ浚いを始めたのです。

五

路地の中は、まさに毒瓦斯の製造所でした。女達は悲鳴をあげて逃げ出した中に、八五郎と平次は、辛くも踏留って、指図をして居ります。

「誰か、財布でも落したんですか、親分」

番太の親爺は鼻をつまみながら、物好きそうに覗いて居ります。

「いや、そんなものじゃない。財布が出たら、爺さんにやってもいいよ」

「それとも、脇差か何んか」

「そいつは大川のかい掘りでもしなきゃ出て来ないだろうよ」

「すると、何を捜すんです、親分」

「重いものだよ、持ち運びの出来ないほどの」

「へェ、金の伸か何んか?」

「まァ、その気で探して貰おうよ」

平次ははっきり言いませんが、正体はもう掴んでいる様子です。

「おや、大きな石があるぜ、丸くて手掛かりはよくねえから、出さずに押し込んで置け、五、六貫目もあるかな」

指図をしている八五郎の号令です。

「八、その石だよ、その石が入要なんだ。路の上へ引揚げてくれ」

平次はあわてて声を掛けました。

「へェ、驚くぜ、親分はこの石が御用だとさ。重くて臭くて丸いのは何アに――と来やがる、それよ」