Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 125,671 characters · 252 screens
五
月の光を背中に受けて、顔はよく見えなかった上に、私の不断着の羽織を引っかけて居たんですもの」
女の声は、やるせなく訴えるのです。
五
平次は庭に降り立ちました。
「銭形の親分、御苦労様で」
フト顔を挙げると、木戸を押しあけて入って来たのは、四十前後の愛嬌のある男です。
「お前は?」
「辰之助と申します。主人の義理の弟で」
「何処か?」
「お寺へ行って参りました。甥の幾太郎と一緒に」
後ろに突っ立って、ブッ切ら棒に挨拶をして居るのは、二十一、二の若い男、八五郎に青瓢箪と形容された、総領の幾太郎です。
「気の毒なことでしたな、心当りはありませんか、曲者の」
「いや、とんでもない、姪のお照はよく出来た娘でしたよ、人に怨まれるような、そんな事は」
辰之助は大きく手を振るのです。
「御新造のお通さんが、此間から危ない眼に逢わされてるそうだが、其方には怨む者も随分あることでしょうな」
「めぐろの浪次とか言う、仕様のない男が追い回して居ると聞きましたがね」
「でも、二階から突き落すのは、外の者でもないと思うが」
「お通さんは良い人ですよ、心掛けも優しいし、人ざわりも申分なく、家中であの人を怨む者なんかありゃしません、あの人が来てくれて、兄の疳も鎮まり、朝夕の手もかからず、皆んな喜んで居ますよ」