Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 125,671 characters · 252 screens
四
「外に気のついたことは無いのか」
「腰抜け彌八が、懲り性も無く巴屋を覗きますが、外の女達は馬鹿にし切って居るのに、祭だけ一人は、何んとなくあの腰抜けっ振りが良いらしく、『あの人はお気の毒だ』などと言って居ますよ。おぼこ娘はあんなのが好きでしょうか、――もっとも芝居に出てくる、二枚目のような、侍のくせに弱々しいところがありますがね」
「主人の造酒助はどうだ」
「初めてしみじみ話してみましたが、良い男ですね。声が悪いのと、家柄が無いので、役者には向かなかったそうですね、三十五だというのに、あんな良い男は一寸ありませんね」
「お前より良い男か」
「飛んでもない親分」
などと、例の長んがい顎を撫で回す八五郎です。
四
それから二日、明け離れたばかりの朝の戸へ、
「親分」
八五郎は息せき切って飛込んで来ました。
「どうした八」
米沢町の事件は、此間から平次も神経を悩まして居たのです。
「もう一人やられましたよ。もう少し早く親分に見て貰うんでした」
八五郎はそれが口惜しそうです。
「勘弁しろ、八、お前に手柄をさし度かったんだ。ところで、誰がやられたんだ」
「お房ですよ」
「そいつは気が付かなかった。