Japanese reading practice

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 125,671 characters · 252 screens

Aozora Bunko

三

「――」

「こいつは大事なことなのだが」

平次は重ねて問いました。月の光を半分受けた少年の顔が、夜目にも血潮が匂ったようですが、それは平次の気の迷いだったかもわかりません。

「一緒に死のうと約束しました」

「無分別だな」

「その折が無いうちにお滝はこの寮に引取られて、昨夜のようなことになってしまったんです」

新吉は深々と首をうな垂れるのです。

「そいつは止した方がよかろう。若い者が思い詰めるのはもっともだが、死んでしまった日にゃ取返しが付かねえ。お滝の方は、万に一つも間違いのねえように、暫く俺が預かろう。よいか、無分別なことをしちゃならねえよ、判ったか」

「――」

「それから、伯父であろうと何んであろうと、人を害める気になるのも止さなきゃいけない」

「親分さん、大丈夫。もう二度とそんな気は起しゃしません」

「そう聴けば俺も安心する。間違っても、変な気を起すんじゃないぜ」

「――」

新吉は二つ、三つ、身を入れてうなずくのでした。

三

事件はそれっきり発展もせずに、三日五日が経ちました。

「親分、小梅の寮の殺しは一体どうなったでしょう」

八五郎は時々やって来ますが、平次は家へ引込んだきり、あまり向島の方へ足を向けず、妙に考込んでばかり居るのです。