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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 125,671 characters · 252 screens
【最終回】
一
「さァ」
八五郎にも、それは思い当りません。秋山彌十が生きているとか、富山七之助が仕返しに来たのなら知らず、今の村越家には、そんな恐ろしい力を持って居る者がある筈も無かったのです。
「親分さん、銭形の親分さん」
後から声を掛ける者があります。
「御主人の峰右衛門さんですよ、親分」
八五郎が紹介するまでもなく、平次はもう夕明りの中で、この老人を、念入に観察して居たのです。
「親分さん、こうイヤな事が続いちゃ、もう私はたまらない。何んとしてでも、悪戯をする奴を縛って下さいませんか――私の力で出来ることなら、どんな事でも――」
この老人もまた、これ程の根強い事件まで、金の力でどうかしようというのでしょう。
「お気の毒ですが、こいつは容易には止しませんよ。詳しいことを打ち明けちゃ下さいませんか。それから考え直さなきゃ、あっしでも手に了えませんぜ」
平次はこう言い切って、相手の出ようを待ちました。
主人峰右衛門の後ろに立って居る、青白い四十女は、それは後添のお皆というのでしょう。何やら眼顔で、切りに主人を牽制して居ります。
【最終回】
一
「私は恐ろしくなりました、目に見えない敵が、私の命を狙って居るに違いありません、親分」