Japanese reading practice

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 125,671 characters · 252 screens

Aozora Bunko

「変な声がしますね、旦那」

下つ引の一人が、庵寺の雨戸に耳を寄せました。

「人間の唸り声だが――」

「入って見るがいい、遠慮することは無い」

伊藤治太夫も、何やら不安を感じ始めました。

「雨戸も玄関も開きませんが」

「裏口から入るがいい、先刻寺男の出て行った」

それッと、五、六人、一団になって庵寺に飛込みましたが、中は予想の通りの大乱脈、

「あッ」

暫く立ちすくんだのも無理はありません。庵主大堅初め役僧と一人の小僧と、寺男までが、雁字がらめに縛り上げられ、頭から蒲団を被せられ唸って居たのです。

「金は、金は?」

伊藤治太夫はわかり切ったことを訊くのでした。

「曲者に持って行かれてしまいました。岡持に入れて、小僧一人を人質代りにつれて」

役僧は猿轡を解いてもらって、ヒョロヒョロと立上ります、今からでも黒旋風を追っかける気でしょう。

「では先刻の寺男権六と名乗ったのは?」

「それが曲者でございますよ、権六は私で、此処に縛られて居ります。私の着物を剥いだ上、私を昆布巻のように蒲団に包んで行ってしまいました」

真物の権六は、悲鳴をあげるのです。

「何処に金を置いてあったのだ」