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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 125,671 characters · 252 screens
そんな事にかけては全く天才的な腕を持った八五郎です。とぼけた口調と、長い顎と、人の好さそうな様子が、誰にでも甘く見られるからでしょう。
「そこで、どんな事がわかったんだ」
「第一番に、兄貴の信吉も良い男だが、妹のお浜は、そりゃ良い娘で」
「お前に言わせると、若くて綺麗な娘は皆んな善人だ」
「働き者で兄貴思いで、なりも振りも構わない癖に、滅法可愛らしくて、――ちょいと、あんな娘は、日本橋の大店や、番町辺の武家のお嬢さんにも滅多にありませんね、例えば――」
「わかったよ、俺はお前から、娘の品定めを訊いてるわけじゃねえ」
「でも一人で感心して居ちゃ勿体ない位で」
「呆れた野郎だ、勝手に感心するがいい」
二人はツイ掛け合い話になるのです。
「あっしもつくづくあんな娘が一人欲しくなりましたよ――お袋が無精で、あっしをたった一人しか産んでくれないので、怨めしい位で――」
「無駄が多いな、そんなに気に入ったら、妹とは言わずに、嫁に欲しいと吐かせ」
「兎も角、木賃宿の番頭に頼んで、猿曳兄妹の隣の部屋へ泊めて貰いましたよ」
「少しは弾んだのか」
「なァに、十手の尖端をちょいと覗かしただけで」