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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 125,671 characters · 252 screens
もいいという話――」
「そんな事はどうでもいい――肝腎の黒旋風のことはどうなったんだ」
平次は八五郎の話をレールの上に載っけてやりました。
「あ、そうそう忘れて居ましたよ」
「?」
「話はそれからそれと続きましたよ。あっしはあの晩信吉は何処へも出なかったか、さぐり入れてみましたが、木賃宿だって怪し気な帳場があるから、信吉兄妹は一ト晩外へ出なかったことは確かで」
「何処かから、潜って出る場所は無いのか」
「潜れば潜れないことも無いが、あれだけのピカピカする妹がいると、家中の者が見張っているから、そっと抜け出すことは、先ず出来ない相談で――」
「それから」
「お猿のお玉とも仲よしになりましたよ。持って行った毛――あの妙月庵の床下で拾った毛と、お玉の生き毛と比べて見ましたが、この鑑定はあっしにもわかりません。一匹のお猿だって、背中と腹じゃ毛の性質が違っているし」
「それで?」
「矢張り違って居るようですね。真物の猿の毛はもっと長くて柔らかくて、色も少し鼠色で、根の方が黄色に斑になって居る」
「妹のお浜を庇ってやるのは構わねえが、お猿まで庇っちゃ困るぜ」
「大丈夫、お猿に親類筋はありませんよ」