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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 136,062 characters · 276 screens
厳しい腹痛と離屋と、それから下痢、と相談した以上に、細かいところまで口が合います。
次に呼出されたお国は、せいぜい二十一二、芸妓にしては年増ですが、仲町の芸妓らしく素顔に近い薄化粧で、少し青い顔も、唇のわななきも、抜群の美しさを隠しようはありません。
「何だって、伊勢屋を川へ突き落した」
「…………」
平次の言葉の峻烈さに、お国はハッと息を呑みました。美しい顔が真っ蒼になって、額口から、冷たい汗がにじみます。
「河童のせいなどにしやがって、とんでもねえ女だ。お上にも御慈悲がある、伊勢屋の悪いこともことごとく承知だ。残らず言ってしまえッ」
「申します、親分さん」
お国はヘタヘタと材木の上に崩折れてしまったのです。月の光に濡れたような袷、白い襟に後れ毛が絡んで、――辛くもあげた顔には悲しみと絶望の色が一パイでした。
「お舟と二人で突き飛ばしたことは解っている。が、どんな怨みがあった」
平次は日頃の平次になく峻烈です。
「妹は何にも知りません、――今晩帰ると、自分が人身御供に上げられることさえ知らずにいる妹ですもの」
「…………」
「水の中に何か光る物があったのも、本当です。