Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 136,062 characters · 276 screens
四
平次は始めて莞爾としました。
「親分と八五郎は、影と形、太夫と三味線、切っても切れない親分子分でしょう」
「それがどうした」
「銭形の親分の偽物があって、八五郎の偽物が出て来ないのが不思議でならねえ」
「何だ、馬鹿馬鹿しい。そんな長い面の偽物なんか出来合にあるものか、ハッハッハッ」
平次はとうとう笑い出しました。が、気が付いてみると、そう言ったガラッ八は、お付合に笑いながらも、妙に涙ぐんでいたのです。こんな事でも言って、この一と月あまり笑顔を見せなかった、親分の平次を笑わせるつもりだったのでしょう。
「へッ、へッ、へッ、へッ」
全く、そう言ったガラッ八自身は、止めどもなく笑っているのでした。
四
その晩、偽平次の強盗は、湯島の山崎屋に入りました。湯島は平次の縄張ですから、昨夜八五郎に「俺の縄張を荒さないのが不思議」と言ったことを思い出して、さすがの平次もギョッとした心持でした。
山崎屋の専助というのは、言うまでもなく桔梗屋のお藤が嫁に行くはずだった家で、商売というほどのことはありませんが、二三年前から店を持って、中どころの商人や、御家人安旗本などを相手に金を廻し、小体ながらなかなか裕福に暮しておりました。