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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 136,062 characters · 276 screens

Aozora Bunko

七

「その高木銀次郎を召捕るのだ、神妙にせい」

「何? 高木銀次郎と知って縛るというのか、俺は縛られるのが嫌いだ」

ギラリと引抜いた一刀、陸湯にスーッと入れて、振りかぶります。

恐ろしい落着きと、心得た態度に、十何人の捕方は、ギョッとして立停りました。

「御用」

「神妙にせい」

「馬鹿奴ッ、何の理由があって縛る。それを聞かないうちは、不浄役人のままになる俺ではない、命の要らぬ奴は来い」

振りかぶった一刀は、毒蛇のごとくりゅうと閃きます。

「高木銀次郎こと、幻の民五郎とはその方に相違ない、訴人があって確かだ、神妙にお縄を頂戴せい」

「何、幻の民五郎」

あまりの事に高木銀次郎、一歩退きましたが、運悪く流しのぬめりに足を取られて、ハッと滑るところへ、待ち構えた小桶が四つ五つ、三方から狙い打に飛びました。

「あッ」

それを避けるはずみに、高木銀次郎の身体は、ものの見事に引っくり返ります。

「それッ」

畳みかけて五六人、こうなると馴れた者が勝です。兵法にも忍術にも及ばず、あッという間に高木銀次郎、高手小手に縛り上げられてしまいました。

七

「親分、高木銀次郎は白状しないって言いますぜ」