Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 136,062 characters · 276 screens
――何とかして倅を助けてくれ、倅は酒癖が少し悪いだけで、根が神様のような正直者、決して人などを殺す男ではない――と言うのです。母親の言い分ですから、もとより掛値も自惚もあるでしょうが、船頭の無実は平次も知り過ぎるほど知っております。
しかし、今の内に動きの取れない証拠を進めて、石原の利助を取って押えない以上は、直助の命を救う道はまず絶望と思わなければなりません。
母親は泣きながら帰って行きました。平次を訪ねて慰められるどころか、かえって、大きい失望を背負わされたようなものです。
しかしこの悲しみも永くは続きませんでした。芸妓殺しの下手人は、船頭直助でないという、消極的ではあるが、動きの取れぬ証拠を提供してくれる事件が起ったのです。
それはこうでした。
今は跡形もありませんが、その頃流行った瓦町の焙烙地蔵様の門前、お百度石の側で、同じ町内の糸屋の娘お駒が、銀簪に右の眼玉を突かれて、芸妓奴と同じように、無慙な死に様をしていたのです。
お駒は浅草から両国までの間に、並ぶ者がないと言われた美しさで、まだ十七になったばかり、唄にも絵にもされた小町娘でした。