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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 142,597 characters · 289 screens
細りした身体が、後ろ手に縛られると一倍萎れて、消えも入りそうなのが、何とも言えない痛々しさです。
「…………」
平次は黙ってそれを見送りました。が、三輪の万七とお倉の姿が見えなくなると、
「八、手を貸せ、少し調べてみよう」
死骸の傍に立ち寄ると、物馴れた様子でそれを抱き起しました。
「親分、大変な怪我じゃありませんか」
とガラッ八。
「それだよ、見ろ、八、身体中傷だらけじゃないか」
死骸の帯を緩めて、双肌脱がせると、背から尻へかけて、一面の青痣、それに相応して着物の破れなどのあるのを確かめると、
「袋叩きにされたんだね、女一人の仕事にしちゃ、少し念が入りすぎだよ」
平次はそんな事を言いながら、髷節の中から、足の下まで、恐ろしく丁寧に調べております。
「雪駄の片っ方がありゃ、下手人の見当はすぐ付きますね、親分」
とガラッ八。
「馬鹿だね、その雪駄の片っ方はお倉の家にあったのさ、扱帯がお倉のだというだけじゃ、三輪の万七ともあろう者が、女を縛るわけはねえ」
「なるほどね、お倉の家――てえのは、いずれこの辺でしょうね」
「細工の器用なところを見ると、すぐそこってことはあるまいが、いずれ十軒とは離れちゃいまい、訊いてみな」