Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 142,597 characters · 289 screens
柄に籐を巻いた、使い古しの剃刀を受取ると、平次は雀躍りしたい心持になるのでした。
「親分、番所へ行ってみましょうか」
「待ってくれ、ここに居るなら、お政の弟子達に一と通り会って行きたい」
「駆け付けた顔はたいがい揃っていますよ。権助どん」
「ヘエ――」
ガラッ八の声に応じてノソリと出たのは、お政の使っている飯炊き、庭も掃けば使い走りもするといった、調法至極な男です。
見たところ五十幾つ、形振構わず小金を溜めるより外に望みのない人間で、信州の土の匂いのするといった風格には、お政を殺す動機などを持っていそうもありません。
「それから、又次郎さん」
「ヘエ――」
浜名屋の冷飯食い、飛抜けた道楽者で、親兄弟も構い付けない代り、女の子の達引には不自由をしない男、二十七八の若い燕型、これは一番疑われそうな人間です。
「師匠が殺された時分、どこに居なすった」
と平次。
「馬道に申刻(午後四時)時分から先刻まで、師匠の帰りを待っていましたよ。八五郎さんもよく御存じで――」
又次郎は少しおどおどしておりますが、大して悪びれた色もありません。
「又次郎さんの言うのは違いありませんよ、親分、笊碁を打っていたんで」