Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,139 characters · 233 screens
「何を探したんだ。――先代の隠した宝でも見付からなかったのかい」
平次は誰へともなく言いました。主人が死んで何千、何万という身上の隠し場所が判らなくて、天井も床も剥いだ浅ましい家を、平次は稼業柄幾度も見ているのです。
「とんでもない。――先代大旦那の亡くなったのは急でございましたが、支配人の私が帳面も金も預かっておりましたので、鐚一文も不審な金はございません」
どこで聴いていたか、支配人の半九郎は平次の不審に応えるように顔を出しました。娘のお万が非業に死んで、その打撃の重大さに押しのめされながら、それでも大家の支配人としての責任に目覚めて、辛くも事務的な心持に立ち還ったといった世にも痛々しい姿です。
「支配人さん、とんだことだったね。娘さんの敵はきっと討ってやるが、――私の訊くことに、何事も隠さずに話して貰いたいが、どうだろう」
「それはもう。親分さん、どんなことでも」
半九郎は、蒼い顔を挙げました。五十前後の柔和な男です。
「第一に訊きたいのは、亡くなった主人とお前さんの関係だ」
「ヘエ――」
「遠縁のつながりがあるとは聞いたが、その他に何か深いわけがあると思うがどうだろう」