Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十四)雛の別れ

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,139 characters · 233 screens

Aozora Bunko

三

三

京屋の家族は、倅の善太郎たった一人だけ。これは人間がだいぶ甘く、二十二にもなっているのに、禿び菷ほどの役にも立ちません。

平次は一応会ってみましたが、要領を得たことは一つもなし。ただもうおろおろして、事件の成行きを眺めているだけのことです。

手代は友三郎、千次の二人。どちらも永年勤めて、何の異心がありそうもなく、小僧の幾松は十一で物の数に入らず、下女のお吉は、四十二三の中年女で、これは死骸を発見してひどく怯えている外に、何の変哲もありそうはなかったのです。

「これだけかな」

平次は四方を見廻しました。

「あとは出入りの職人や、通いの人足だけで、店にいるのはこれだけでございます」

久助は念入りに頭数を読みながら答えました。

「まだ、島吉どんがいるでねエか」

下女のお吉はお膳の数から思い付いた様子です。

「なるほど、あれも奉公人の一人だ。――庭掃きから荷拵え、使い走りなど、外廻りの仕事をしている、島吉というのがおります」

「どれだ」

「あれでございます。――いま土蔵の前を掃除している」

「…………」

土蔵の前、同じ場所を何遍も何遍も掃除している、中年男の頭の悪そうなのを見て、平次はがっかりしてしまいました。