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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十四)雛の別れ

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,139 characters · 233 screens

Aozora Bunko

見ると敷居にも雨戸にも鑿を入れてこじ開けた跡があって、曲者が外から入ったことは疑いようもありません。

「親分、大変な泥ですね」

畳の上に斑々とした泥足の跡。ガラッ八にそう言われるまでもなく、証拠は揃いすぎるほど揃っております。

「脇差は?」

「主人の品でございます。用心のために、枕許へおいて寝たのが、かえって災難のもとでございました」

「なるほどそう言えないこともあるまいな」

平次は死骸の傍に抛り出してある蝋塗の鞘を取って、一応調べました。

「親分、傷は一つじゃありませんね」

ガラッ八は妙なことを言います。

「よく気が付いたな。さいしょ細刃の匕首で刺して、後で脇差で止めを刺したんだろう」

「どっちにしても、曲者が外から入ったに違いないとすると、物盗りでしょうか、それとも怨みでしょうか」

「さア、それは俺にも分らないよ。番頭さん、何か紛失したものはないのかえ」

「何にも失くなりません。主人の紙入も中の金までそっくりしておりますし、ここには大事な衣裳も、金目のものもございません」

「それじゃ怨みか」

と、ガラッ八。

「人様に怨まれるような御主人ではございません」

「サア分らねエ。