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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme

Aozora Bunko

口へ掌を当てがっても、呼息の通う音はしなかった。母は呼吸の塞ったような苦しい声を出して、下女に濡手拭を持って来さした。それを宵子の額に載せた時、「脈はあって」と千代子に聞いた。千代子はすぐ小さい手頸を握ったが脈はどこにあるかまるで分らなかった。

「叔母さんどうしたら好いでしょう」と蒼い顔をして泣き出した。母は茫然とそこに立って見ている小供に、「早く御父さんを呼んでいらっしゃい」と命じた。小供は四人とも客間の方へ馳け出した。その足音が廊下の端で止まったと思うと、松本が不思議そうな顔をして出て来た。「どうした」と云いながら、蔽い被さるように細君と千代子の上から宵子を覗き込んだが、一目見ると急に眉を寄せた。

「医者は……」

医者は時を移さず来た。「少し模様が変です」と云ってすぐ注射をした。しかし何の効能もなかった。「駄目でしょうか」という苦しく張りつめた問が、固く結ばれた主人の唇を洩れた。そうして絶望を怖れる怪しい光に充ちた三人の眼が一度に医者の上に据えられた。鏡を出して瞳孔を眺めていた医者は、この時宵子の裾を捲って肛門を見た。

「これでは仕方がありません。