Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
十九
十九
その晩は叔父と従弟を待ち合わした上に、僕ら母子が新たに食卓に加わったので、食事の時間がいつもより、だいぶ後れたばかりでなく、私かに恐れた通りはなはだしい混雑の中に箸と茶椀の動く光景を見せられた。叔父は笑いながら、市さんまるで火事場のようだろう、しかし会にはこんな騒ぎをして飯を食うのも面白いものだよと云って、間接の言訳をした。閑静な膳に慣れた母は、この賑やかさの中に実際叔父の言葉通り愉快らしい顔をしていた。母は内気な癖にこういう陽気な席が好きなのである。彼女はその時偶然口に上った一塩にした小鰺の焼いたのを美味いと云ってしきりに賞めた。
「漁師に頼んどくといくらでも拵えて来てくれますよ。何なら、帰りに持っていらっしゃいな。姉さんが好きだから上げたいと思ってたんですが、ついついでが無かったもんだから、それにすぐ腐くなるんでね」
「わたしもいつか大磯で誂えてわざわざ東京まで持って帰った事があるが、よっぽど気をつけないと途中でね」
「腐るの」千代子が聞いた。
「叔母さん興津鯛御嫌。あたしこれよか興津鯛の方が美味いわ」と百代子が云った。
「興津鯛はまた興津鯛で結構ですよ」