Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
十四
引き退がって、すぐおれのところへ知らせてくれと頼んだ。そうして一人で煙草を吹かして腕組をしながら、事件の経過を待っていた。すると万事が旨い具合に予定の通り進行して、いよいよ自分の出る順が来た。そこでAの部屋の傍へ行って間の襖を開けながら、やあ早かったねと挨拶すると、Aは顔の色を変えて驚ろいた。田口はその前へ坐り込んで、実はこれこれだと残らず自分の悪戯を話した上、「担いだ代りに今夜は僕が奢るよ」と笑いながら云ったんだという。
「こういう飄気た真似をする男なんでございますから」と須永の母も話した後でおかしそうに笑った。敬太郎はあの自働車はまさか悪戯じゃなかったろうと考えながら下宿へ帰った。
十四
自動車事件以後敬太郎はもう田口の世話になる見込はないものと諦らめた。それと同時に須永の従弟と仮定された例の後姿の正体も、ほぼ発端の入口に当たる浅いところでぱたりと行きとまったのだと思うと、その底にはがゆいようなまた煮切らないような不愉快があった。彼は今日まで何一つ自分の力で、先へ突き抜けたという自覚を有っていなかった。勉強だろうが、運動だろうが、その他何事に限らず本気にやりかけて、貫ぬき終せた試がなかった。