Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme

Aozora Bunko

十九

「そうですね。近い内にちょっとした事ができるかも知れません」

「災難ですか」

「災難でもないでしょうが、気をつけないとやり損ないます。そうしてやり損なえばそれっきり取り返しがつかない事です」

十九

敬太郎の好奇心は少し鋭敏になった。

「全体どんな性質の事ですか」

「それは起って見なければ分りません。けれども盗難だの水難だのではないようです」

「じゃどうして失敗らない工夫をして好いか、それも分らないでしょうね」

「分らない事もありませんが、もし御望みなら、もう一遍占ないを立て直して見て上げても宜うござんす」

敬太郎は、では御頼み申しますと云わない訳に行かなかった。婆さんはまた繊細な指先を小器用に動かして、例の文銭を並べ更えた。敬太郎から云えば先の並べ方も今度の並べ方も大抵似たものであるが、婆さんにはそこに何か重大の差別があるものと見えて、その一枚を引っくり返すにも軽率に手は下さなかった。ようやく九枚をそれぞれ念入に片づけた後で、婆さんは敬太郎に向って「大体分りました」と云った。

「どうすれば好いんですか」

「どうすればって、占ないには陰陽の理で大きな形が現われるだけだから、実地は各自がその場に臨んだ時、その大きな形に合わして考えるほかありませんが、まあこうです。