Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
箸と猪口の載った会席膳が、じきに二人の前におかれて、気づまりなほど行儀のいい女が、酒のお酌をした。ほどのいい軽い洒落などを口にしながら、二人はちびちび飲みはじめたが、会社の重役や、理事の風評なども話題に上った。女遊びの話も、酒の興を添えていた。
そこを出たころには、もう灯影が町にちらついていた。
退ける少し前に、会社へ電話のかかって来た、赤坂の女の方へ、浅井は心を惹かれていた。浅井はその女と、しばらく逢わずにいたのであった。
「どうなすって。いつかけてもあなたはいらっしゃらないのね。」
女は笑いながら、浅井の安否をたずねた。
「私あなたのことで、少しよそから聞いたことがあるのよ。」
「何だ何だ。」と、浅井は少しまごついたような返事をしたが、多分知合いの小林の妾からでも聞いた内輪のことだろうと思った。
幾年ぶりかで、浅井はその晩、お増がもといた家をそっと訪ねて見た。
そのころの女の、もうほとんど一人もいなくなったその家の、広い段梯子をあがって行く浅井の心には、そこを唯一の遊び場所にした以前の自分の姿が、目に浮んで来た。
「おや、黴の生えたお客様がいらしたよ。