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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme

Aozora Bunko

あわてて火を起したり湯を沸かしたりする自分の傍にいる浅井と、いつとはなしに話に耽って、二階へあがって臥床を延べたのは、もう二時過ぎであった。不安と恐怖とに、幻のような短い半夜があけた。

秘密の機会が、浅井によって二度も三度も作られた。

病人の枕頭などで、おそろしいお増の顔と面と、向き合っている時ですら、お今はやるせない思いに、胸を唆られるのであった。甘えるような驕慢と、放縦な情欲とが、次第に無恥な自分を、お増の前にも突きつけるようになった。

お増は楊枝や粉を、自身浅井にあてがってから、銅壺から微温湯を汲んだ金盥や、石鹸箱などを、硝子戸の外の縁側へ持って行った。庭には椿も大半錆色に腐って、初夏らしい日影が、楓などの若葉にそそいでいた。どこからか緩いよその時計の音が聞えて来た。

朝飯のときも、お増はぴったり浅井の傍に坐って、給仕をしていた。そして浅井が何か言いかけると、「ハア、ハア。」と、行儀よく応答をしていた。毛に癖のない頭髪が綺麗に撫でつけられて、水色の手絡が浅黒いその顔を、際立って意気に見せていた。

「二階の方は私がしますよ。」

お増は蔭にばかり隠れているお今の、二階へあがって行く姿を見ながら言いかけた。