Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Lesen Sie 春泥・三の酉 (しゅんでい) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.075 Zeichen · 173 Bildschirme
春泥
向島
一
向島
一
……渡しをあがったところで田代は二人づれの若い女に呼びとめられた。――小倉と三浦とはかまわずさきへ言問のほうへあるいた。
「何だ、あれ?」
すぐにあとから追ッついた田代に小倉はいった。
「あれは、君……」いいかけて田代は「慶ちゃん、君は知ってるだろう?」
それがくせの頤をなでながらあるいている三浦のほうへ眼を向けた。
「チビ三郎の内儀さんじゃァねえか。」
ずけりと膠もなく三浦はこたえた。
「チビ三郎?」
小倉はその、体に合せて小さな眼を眼鏡のかげにすくめるようにした。
「千代三郎さ、あの。」すぐに田代は引取って「成駒屋んとこの、それ……」
「あゝ、あの女形の。――寸のちょい短い……?」
「だからチビ三郎よ。」
ずけりとまた三浦はいった。
「どっちだ、しかし?」小倉はその汐先に乗らず「ハイカラのほうか、銀杏返しのほうか?」
「ハイカラのほうだ。」
「それなら大したこたァねえ。」
「ねえとも、あんな。」三浦は吐出すように「だのに、あの。――何だ、あのふやけたざまァ……」
「なぜ?」
「そうじゃァねえか、なぜって? ――多寡が役者のかゝァじゃァねえか。」
「多寡が何だって?」