Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Lesen Sie 春泥・三の酉 (しゅんでい) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.075 Zeichen · 173 Bildschirme
四
田代は箸の尻を返して焜炉の火を突ッついた。
「しかし、いゝえ、それは俥のことばかり申せません。」わらってまた「うたむら」の主人は話を掻出した。「震災まえまでさかっていたもので、こゝへ来て、この五六年でバタ/\といけなくなったものは外にもたくさんあります。――が、そのなかで、人のあんまり気のつかないもので、まるでその立つ瀬のなくなった、あわれな、惨めな稼業があります。……お分りになりますか?」
「それは、どういう方面の?」
「いゝえ、あなたがたにもまんざら御縁のなくないもので……」
「と、それは?」
「そうなるのがほんとうの……そうならなくっちゃァならなかった稼業ですが……」
「さァ?」
四
「芝居茶屋です。」
「…………?」
「以前わたくしどものいたしておりました稼業……」「うたむら」の主人はもう一度わらって「俥のほうは、これ、東京でこそ相手にされなくなりました。一ト足、東京の外へ出ればどうにかまだ露命はつないでおります。が、このほうは、どこにもそういう逃げみちがきゝません。――ぺしゃんこにされたらそれっきり、どうにも外に方返しがつきません。」
「なるほど。」
「いつかそういうことになる、そうなるときが必と来る、矢っ張そうは思っておりましたが、真逆こんなに早く、こうまで急にそうなろうとは。