Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Lesen Sie 春泥・三の酉 (しゅんでい) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.075 Zeichen · 173 Bildschirme
六
つぶやくようにいってかれは入口の戸をあけた。
六
……日の短い頂上である、ガタリと急に、わずかな間に、日かげも褪せ、空のいろも艶をうしなった。――で、いつになくかれのおちついてゆッくり柚湯につかり、さば/\した、生返った……同時にやゝぐッたりした恰好で外へ出たとき、いつかもうあたりは、灯影の、濃く、しめやかに、眼立しく感じられる程度に……そのくせまだ空はさえ/″\とあかるく……たそがれていた。ほてる頬に触れる空気のしずもりをたのしむように出来るだけかれはぶら/\あるいた。
「まァ、お前さん……」
格子をあけてうちへ入るなりいきなりかれはおますにいわれた。「いま西崎をみせにやろうと思ってたところじゃァありませんか。」
「どうして?」
「どうしてってそうじゃァありませんか。――わたしのいない留守にだまってお湯になんぞ……」
「そんなこといったっていつ帰るか分らねえものを。――ぐず/\していたら日が暮れる。……でなくっても、みねえ、あの時分に出たってこのさまだ。」
「何もそう急に行かなくったって。……行くなら行くようにお医者にも訊いて、お医者がいゝといったらそれから……それからだっていゝじゃァありませんか。